Planning & Management

1991年より、企業、公共ギャラリー等で展覧会の企画、運営に携わり、今日でも学内外において活動している。
創業100周年を機に開設された企業文化拠点において、メセナ活動として現代美術展を企画し、運営顧問を担当。関西の新進から中堅作家を紹介し、企業イメージに即した新たな価値を発信した。全10回の企画概要を以下に示す。

第1回「池垣タダヒコ 銅の立体・ナイーブな庭」
十代後半のメキシコ滞在の記憶を起点に、過剰で力強い描線や有機的形態を銅で表現。会場全体を巨大な彫刻で構成した。

第2回「岡普司 鍛えられる道具、鍛えられる視線Ⅰ」
素材と道具、主題と表現の関係を探る試みとして、金属加工を通じて素材の特性や道具へのオマージュを示唆。鍛金技術による鉄の彫刻作品を展示した。

第3回「中ハシ克シゲ 鍛えられる道具、鍛えられる視線Ⅱ」
素材と道具、主題と表現の関係を探る試みとして、銅線や鉄を用い、日本の風景や折衷的な美を再構成。懐かしい日常空間に見せかけて新たな視点を促す展示した。

第4回「ひろいのぶこ やわらかい部屋Ⅰ」
毛糸や毛皮を用いたオブジェにより、羊や狼が登場する物語的な空間を構成。静謐で詩的な雰囲気の中で、普遍性や死生観を喚起する作品を展示した。

第5回「森口ゆたか やわらかい部屋Ⅱ」
拾得物を再生したファウンドオブジェと映像を展示。無関係な素材を集めて新たな意味を生み出し、記憶の再構築を試みる空間を構成した。

第6回「栗本夏樹 祭祀の支度」
会場全体を祭壇に見立て、漆芸による巨大立体を展示。伝統的な装飾美と鎧兜や宝剣のイメージを重ね、新たな美意識を創出した。

第7回「有地左右一 + 笹岡敬 白き目覚め」
物語性を排し、ミラーボールで光を会場全体に拡散。光と音で視覚や感覚を拡張するパフォーマンスを披露した。

第8回「大島成己 複眼の探究」
自然と人工物の美をカメラで捉え、加工・合成した作品を展示。写真を通じて素材の幾何学的構造や連想するイメージを再構築して展示した。

第9回「三国達夫 実験室からの手紙」
作家の内面に宿る描線や像を極小フィルムに直接描き、顕微鏡で未知の世界を表現。会場を実験室に見立てて机上のレンズ越しに神秘的な絵画空間を展示した。

第10回「奈良美智 眠れる子供のクリスマス」可愛い子どもの無邪気さと残酷さを作家独自の造形で表現。日本のサブカルチャーと現代美術を結ぶ作品で、当時ドイツを拠点にしていた作家による関西初の本格的な個展。

1994.3
株式会社NEC コンピューターアートギャラリー・神戸・兵庫

株式会社NECクリエイティブ主催、神戸ハーバーランド情報センター協力の企業メセナギャラリーで、デジタル化作品を展示。
新しい知的価値観を提示する企画で監修を担当。阪神淡路大震災で活動途中に中止。

出原 司展
等身大の大型鯨をモチーフにリトグラフで注目された作家が、初めてCGを用いて新たなイメージを展開。単一の像を精密にデータ化し、分割や多重反復で再構築。網状の構造体に浮かぶイメージが、CG上の海に漂う情景を想起させる。

1996
神戸アートアニュアル・プロジェクト

震災復興期の神戸において、若手作家の登竜門となる「神戸アートアニュアル」を立案・創設。神戸アートビレッジセンターを会場に第1回展では主任実行委員として、27歳未満の作家選出、展示監修、カタログ制作、討論会の企画運営までを統括した。開学間もない成安造形大学をはじめ関西の芸術系大学から作家を募り、限られた予算の中で協働による展覧会を実現。次世代作家の育成と地域社会への芸術による貢献を図り、新開地における文化拠点形成の基礎に寄与した。(主催:Kobe Art Village Center/Kobe Art annual Project実行委員会)

2002
「不死身の空間」展

電子芸術国際会議 ISEA2002 の関連企画として、名古屋市民ギャラリー矢田で開催された展覧会。総合テーマ「往来」のもと、映像文化の影響を受けて絵画制作を行う若手作家10名を選出し、絵画を軸に写真や映像を組み合わせた作品で構成した。価値観が揺らぐ時代において、伝統的な絵画の枠組みを広げ、現代的な視覚の捉え方を提示する場となった。企画監修として展示構成や広報、ワークショップ運営を統括し、美術批評家と協働してメディアアートと絵画の新たな可能性を示した。(共催:成安造形大学芸術交流センター、電子芸術国際会議2002名古屋実行委員会)

2005
「版画の発想力」展

「版画の発想力 — THE POWER OF IMAGING」展を企画・監修。伝統的な版画技法からデジタル技術までを視野に入れ、大学における版画教育・研究の成果を社会へ公開することを目的とした。研究者、作家たちが現代の諸問題を自由かつ機知に富んだ発想で捉え、その表現を問う内容となった。展示構成に加え講演会などの関連企画も統括し、研究機関としての知見を社会に広く共有する教育的・公共的役割を担った。 (主催:成安造形大学)

2007
「SHANGRI-LA CHANDELIER」展

The Artcomplex Center of Tokyoにて開催された展覧会。高度な情報化社会で変容する我々の視覚が、現代の諸問題を提起する絵画表現をどのように受け止めるかを問いかけている。絵画・版画・写真・映像作品など6名による計47点で構成した展覧会。企画者として展示構成から記録集の編集・刊行までを一貫して監修した。会期中にはアート・トークを開催し、教育関係者や作家間の交流を促進するとともに、研究成果を広く社会へ発信した。(主催:アートコンプレックス・センター)

2009
「エモーション・リリース Emotion release 」展

教育支援に携わりながら創作を続ける作家に焦点を当て、多様な専門性が交差する展覧会を企画。日本画、洋画、現代アートの高度な専門技能を持つ作家らが、素材や技法を超えて独創的な表現を交錯させ、多様な感性が響き合う創造的な場を構築した。学内ギャラリーと湖南市立甲西図書館での巡回展を構成し、作品選定から運営、広報活動までを統括した。公共施設との連携により次年度始動の美術領域の魅力を示すとともに、教育研究の成果を地域社会へ広く発信した。(主催:成安造形大学)

2010
「望遠」展

滋賀の風土を現代美術の視点から再考する「望遠」展を企画・監修。琵琶湖を中心とした水環境に着目し、美術家石川亮による県内約80箇所の湧水を題材とした作品と、霊山や水脈を示す地図により構成した。自然環境と歴史文化の関係を可視化するとともに、会期中には学芸員や研究者を招いた講演会を開催し司会も担当。展示構成や紹介文執筆を通じ、地域の自然・文化的文脈を多角的に提示する学際的対話の場を創出した。(主催:成安造形大学/協力:本学付属近江学研究所)

2010
川内倫子個展「AILA」

京都成安学園創立90周年記念事業の一環として、滋賀県出身で、かつて同学園にあった短期大学の卒業生でもある写真家・川内倫子の個展を企画・監修した。代表作『AILA』を会場に合わせて再構成し、関西初の個展として開催した。出品交渉や展示構成、作家登壇の記念講演会の主催・司会、広報までを統括。地域社会や美術館との連携を通じ、国内外で活躍する卒業生の軌跡を発信するとともに、次世代への教育的刺激と学内外の文化交流を促進した。(主催:成安造形大学/後援:滋賀県、大津市、高島市、滋賀県教育委員会,大津市教育委員会、高島市教育委員会、滋賀県立近代美術館/協力:FOIL GALLERY)

2010
「Art and Critique 2010–Extension アート アンド クリティーク 2010-エクステンション」展

京都成安学園創立90周年記念事業の関連企画として展覧会を実施。洋画コースの講評会「Art and Critique」を発展させ、京滋の芸術系大学(京都市立芸術大学、京都嵯峨芸術大学、京都精華大学、京都芸術大学、成安造形大学)から絵画・版画専攻の学生20名が参加した。学生同士の交流を軸に、アートトークや学芸員を招いた講評を行い、作品と批評の相互作用から絵画表現の可能性を考える機会とした。あわせて、「キャンパスが美術館」構想に基づく複数のギャラリーも紹介した。(主催:成安造形大学)

2011
「版画の時間」

-成安造形大学造形センター版画ラボからの報告-

本学では独立した版画分野は設けていないが、授業の中で版による表現を扱い、それぞれの領域に応じた教育を行ってきた。その制作過程の支援と研究の拠点であった当時の造形センター版画ラボが本展を担当した。同ラボは木版・銅版・石版・孔版の制作および印刷実習の施設であり、印刷メディアに関する研究にも取り組んでいる。本展では教員、版画ラボスタッフ、全国大学版画展ならびに関西七芸術大学版画ポートフォリオ展の出品者による作品を紹介し、版画の多様な展開と現代的な表現の可能性を示した。版をめぐる歴史的文脈や今日的な批評の視点についても共有した。(主催:成安造形大学)


2012
「よむこと・紙出来」展

「よむ」という行為の多義性に着目し、古来より表現の媒体となってきた「紙」の現代的意義を問い直す展覧会。伝統素材を用いた多様な手法で「紙の上の出来事」を作品化し、現代社会における芸術教育や文化の意義を思索する機会とした。美術家今井祝雄氏、藤本由紀夫氏を招き、教育・研究に携わる作家6名によるドローイングやサウンドなど12点で構成した。伝統的な紙の存在感と意味を再考しつつ、既存のジャンルにとらわれない視点から、現代美術における紙媒体の可能性を提示した。(主催:「よむこと・紙出来」展覧会実行委員会/協力:ギャラリーPARC)

2012
「版の時間/Age of Prints」展

女子美アートミュージアムで開催された、大学版画学会との共同企画による若手作家の公募展。版の特性や考え方を出発点に、インスタレーションや映像なども取り入れ、技法の枠を越えた自由な表現を紹介した。各作家に約10mの展示空間を用意することで、従来の公募展では難しかった作家の意図に沿った空間づくりを実現。学会と作家が密に連携し、現代版画の多様な可能性を示す実験的な展示となった。2009年の立案時から運営体制の整備に関わり、会期中はシンポジウムのモデレーターも務め、複製メディアの今日的価値について議論を行った。(主催:大学版画学会/版の時間実行委員会/共催:女子美術大学/助成:朝日新聞文化財団)

2023
「ON PAPER 紙にとどまるもの」展

紙を支持体とするドローイング、版画、オブジェなど約55点を展示。版画やドローイングの美術史的背景に加え、出版物やグラフィックデザインとの関係に着目し、「版画と教育」「メディアと批評」「印刷とデザイン」の三つの観点から構成した。関連資料も併せて紹介し、各分野の関係性を示した。本学の鑑賞教育の実践と研究成果の公開を目的として企画し、記録集を刊行した。会期中にはギャラリートークや京都市立芸術大学版画研究室との合同授業・講評会を実施。中谷至宏教授が作品の時代考証・執筆を担当し、馬場晋作准教授は出品や合同授業・講評会を担当した。(主催:成安造形大学)

2025
「第4回PATinKyoto 京都版画トリエンナーレ2025」展

2013年に創設された「PATinKyoto 京都版画トリエンナーレ」の第4回展を京都市京セラ美術館で開催。推薦制で選出された17名の作家が参加し、壁面や床面を活用した個展規模の展示を行い、現代版画の多様な表現を紹介した。版画の「間接性」や「複数性」は、現代においてイメージの生成や流通を批評的に捉える視点を提供してきた。本展は、こうした版画固有の特質を踏まえつつ、伝統技法からデジタル技術までを含む多様な実践を紹介する場を提供し批評を生み出している。2025年は、実行委員長として展覧会運営、展示計画、アーティスト・トークやギャラリートークなどを統括。(主催:「第4回PATinKyoto京都版画トリエンナーレ」推進委員会,一般財団法人NISSHA財団,京都市)

※ 成安造形大学特別研究助成に基づき実施した。